Butterfly Corsage: Liner notes

Butterfly Corsage

このアルバムについて

主題歌コンピで一緒になった空華オキさんからコラボを持ち掛けて頂いて「じゃあM3にむけてミニアルバム出しましょうか!」となってユニット"nil-Glass"として始動したプロジェクトになります。 久遠真雪さんにも作詞で参加していただいて、ロックからバラードまでバラエティー豊かな全六曲をそれぞれの曲調に合わせてオキさんに情緒豊かに歌入れして頂いてます!

作編曲、一部作詞、ギターベースレコーディング、mix, masteringはてはジャケットデザイン(のあんまり見えない部分、CD盤面のヒペリカムと蝶は描きました)、特設ページまでやったので自分としてはやり切って満足いく出来になったなって感じです。

なお、自分が言い出しっぺで定着しつつあるアルバムの愛称があるんですが、ここでは出さないことにします。。。

1. papillon

アルバムのオープニングを飾るこの曲は10年前に制作したものです。和風なテイストを醸し出したロックソング、みたいなのがコンセプトでしたね。デモ版をオキさんが気に入ってくれてしっかり音源作り始めて。ハープとバイオリン以外はほぼ当時のままで、しかもオキさんが原キーで挑戦していただいたのでギターベースのアレンジ、レコーディングは楽させてもらいました(ストックの曲はだいたい男性ボーカルの音域に合わせてるので、+1オクターブは大分きついと思います。この曲も最高音A5...)(もし歌ってみたしたい方いらっしゃいましたらカラオケ音源お渡しします)

この曲は作詞はオキさんにお願いしましたが、雰囲気溢れる和風の歌詞を頂きまして(個人的には和風歌詞、玉響外せないよね、などと思ったり(笑))、作中のハープも蝶とか花びらが舞うイメージのアレンジにしました(特に間奏の三連で流れる部分とか)。バイオリンは一応自分でも弾けそうなフレーズにしつつ、サビの部分オキさんに弾いていただいてます。(めっちゃオキさんに「弾いて」って言われてるのでそのうち「演奏してみた」するかもしれません...え、弾くの...?)その他の作編曲についてはとりわけ元アレンジの時期が古いので正直何考えてたか覚えてないのですが(何も考えてないんだろうなあ。。。)イントロのフレーズはビブラートのニュアンスをだいぶ意識しました。

でもなんだかんだ「10年前の自分、この曲がこんな風に仕上がるなんて思ってなかっただろうなあ」の一言に落ち着く。

2. Chill Room

メロウで冷たい雰囲気の曲を書きたいと思ってできたのがこの曲で、作曲時期自体は去年ですね。エレピとか冷ためのシンセ音を入れていたのですが、結果すごく雰囲気のある曲に仕上がったんじゃないかなと思います。去年書いた曲の中でこの曲とヒペリカムとは出したかった曲で、オキさんからコラボ持ち掛けられたときに、「こちらどうでしょう」といって鼓動の次に手がけることになった曲です。時期的にミュートピアが丁度来ていたのでイベント限定でも頒布してました。タイトルは"Room"を何となく使いたくて、こちらに落ち着きました。(冷蔵庫の意ではありません!)

この曲は作詞を手がけましたが、Bメロのtick-tack, zig-zagとサビから入って、あんまりディープな感じにならないようにしながら、シニカルな表現をちりばめてみました。 レコーディングは冒頭のギターフレーズが難産で、ブリッジミュートでアルペジオ弾いているんですが、そのブリッジミュートの具合で一気に質感が変わるんですよね。しかもソロなので表現の粗があればもろに目立っちゃってあの8小節で2時間くらいかかった...。あんまり音がわちゃわちゃしてないのもあって存外Mixは苦戦せずできたような気がします。オキさんに弾いていただいたイントロ間奏のバイオリンも艶があって良かったです!

この曲、ハネリズムでボーカルも難しかったと思うんですが、オキさんのボーカルでは二番Bメロの絶妙な感情の入れ具合が推しポイントです!

3. Eccentric Strategy

この曲は昔曲ストックからのオキさんセレクションでだいたい5年前に作った曲です。タイトルも勢いでつけたものそのままで、このアルバム制作において曲順決めの時に扱いに困った問題児です。シンセを混ぜ込みつつ、怪しげなコミカルさ?みたいなところを目指しました。
ソロは華麗にサクッと、弾けるはずもなく練習しまして、ここしばらくのソロで一番難しかったかも…。アウトロの16分オルタネイトフレーズはむりーってなってました。

作詞は見ての通りですがかなり韻に振ってて、サビはプラスでキャッチーさが入るように意識して書きました。Bメロ2番、韻を踏むという理由で「丑三つ時の夜食の唐揚げ」という歌詞を最初あててて、太りそうなので却下しました。サビの歌詞も当初は「人生ゲーム 先制しエスケープ」とか入れてたんですが、なんか「ゲームの先行逃げ切り」よりは「人生エスケープ」のニュアンスで不穏な気がしたので...あとは奇を衒った戦術ってなんかだいたい悪い方に転ぶなーって思っていたのですが諦めました。「一過性の勘と第六感」とか「賽を振った目で帳尻合わせ」とか一番の歌詞が個人的にはお気に入りです。

ボーカルはミドルテンポで16分が頻発するので実質一番早い曲かもです。音域がだいぶ低い分出しやすいけどニュアンスが難しいんですが、オキさんには挑戦的な雰囲気で歌い上げていただいてます!

ちなみに大体エキセントリックとかエキセントリック君とか表では呼んでたんですが脳内ではたまにエキストラって呼んでました。

4. 鼓動

主題歌コンピに収録されて、真雪さんも加えて一番最初に作った曲ですが、最終ミックス、マスタリングに入るタイミングで大分リミックスしました。最初はそれほどいじるつもりもなかったんですが…ちょこちょこ触ってる内に音量バランスが気になりだしてEQと音量調整したら迷子になって、最終的に柔らかくなって帰ってきたと思います。
アレンジではリズム隊(ベース、ドラム)は音数をあまり増やしすぎないようにすることを意識して、ベースは(ギターが控えめだった分)比較的好き勝手動いてレコーディングしてます。一番終わり直後のドラムの入りは最後の最後まで悩みました。二番Bメロの引くところはいい感じにアクセントになったんじゃないかなと思います。ピアノのアレンジは実際に弾けることを意識して(実際に弾けるとは言ってない)音を並べてみましたがいい感じになったと思います。(一応弾いてMIDI録音してます。)

裏話だとまずワンコーラス作って、フルコーラスの構成予定を真雪さんにお伝えして、でそのあとフルコーラス作って共有しよう!って思ってたところで丁度真雪さんからフル歌詞頂きまして(笑)Cメロどうしようかなってなったんですが、作っていた出だしがそのまま手元のメロに丁度当てはまったのでそこはそのまま使い、伴奏はそのままでメロだけ詞に合わせて作り直しました。というわけで普段曲はほぼ曲先後詞なんですがこの曲のCメロは詞先です。間奏のバイオリンフレーズを作ったときはバイオリンの演奏知識無かったんですが、実際に弾けるフレーズで良かったです(すごくよい)。

この曲はさん付けで呼ぶことが多いです。

5. live

作曲時期は一番最後の曲です。すごくまいばすけっとに行く道すがらサビのメロディー練ってたの思い出す(情緒...)意図的にロングトーン多めにしてオキさんのボーカルの伸びやかさか出るよう画策してました。作った当初はBメロがあったりとABメロが大分違ったのですがなんかしっくりこなくて寝かせてて、ピアノイントロから再構成して今の形になりました。
アレンジは最後の方まで着地点が見えなかったのですが、カルテットアレンジに挑戦して、スタジオ行ってアコギかき鳴らしたのを録って、エレキも録って、オキさんにヴォカリーゼ録ってもらって、で今の形になりました。収録曲で一番パート数が多いですね。間奏は5拍子入れたりスウィープ弾いたりやりたい放題しましたがソロがかなりいい感じに弾けたので聴いてください笑(なんとなくJanne Da Arcのエッセンス啜ろうと聞き返してましたが三拍子の曲少ないんですよね...)。全体としては重厚なアレンジに仕上がったと思います。

作詞は鼓動に続き再度真雪さんに依頼しました。クリエイターズマッチングという別のイベントでオキさんとコラボしてるのを見て「いいなー」と思って打診しましたが快諾いただけて良かったです。頂いた歌詞にも「鼓動」の要素を入れていただいていたので鼓動と続けて並べることにしました。全体的にまっすぐで力強い歌詞ですがラストの「ただ在るがまま」のフレーズはオキさんの歌唱もあいまってクライマックスにふさわしい表現になっていると思います。

Mixは当然大変でした。。。

6. ヒペリカム

さて、このアルバムのトリを飾るこの曲のメロディーは去年ラオスに旅行に行った観光バスの道すがらで考えてました。シンプルに聴かせるメロディーになったと思います。
全編にわたるギターのアルペジオフレーズは最初エレキで弾いていたんですが、生ギターの音が欲しくなったのでアコギを新たにnew gearしました。前半はソロか他のパートがボーカルだけなのでレコーディングは当然シビアでしんどかったです。指弾きのアルペジオはうるさくない分家で録れるんですが、うっかりすると呼吸音が入るので「死ぬしかないのか...」とか思いながら録ってました。(ひとまず音が入らないように大口開けて呼吸してました。)

この曲、オキさん作詞で、バイオリンも全編弾いていただいてるので多分一番頑張っていただいた気がします。ラスサビの最初の四分の一は参考として脳内で当てていた歌詞を出したのですが、上手く拾って切なげながらも素敵な歌詞にしていただけたと思います。
Neutrino AIシンガー欲張りセットと称してNeutrinoさんが出しているライブラリを一通りニュアンス参考用に使ってみたりもしてたのですが、個人的には会心のメロディラインだったのでシンプルに新譜を待つような気持でオキさんのレコーディングを待ってました。

この曲はさん付けで呼んでます