このアルバムについて
前回の1stアルバム「Butterfly Corsage」に引き続き、nil-Glassでの2ndミニアルバムになります。nil-Glassは空華オキさんがボーカルとバイオリン、自分が作曲その他もろもろを担当してるロック、ポップユニット(ゆるふわ概念)になります。
アルバムテーマは終末世界(ポストアポカリプス)で1曲目の「The Lunar Night」で滅びの瞬間を描き、2-6曲目で人類衰退後の色々を描いた内容になっています。
アルバムタイトル「Judgment moon & Gimcrack sun」ですが「Judgment moon」は「The Lunar Night」から、それと対比する太陽は見掛け倒しでしかないとかなんとかかんとか...え、ちょっとタイトル長いって?えー、なんかいい呼び方ないかな...(すっとぼけ)
※以下、曲名をクリックするとライナーノーツが表示されます。
アルバムの最初を飾る曲は月をテーマにしたロックナンバーで、三月に先行でYouTubeで公開しましたがそこからさらにミックスを詰めてます。この曲は旧作枠で4,5年前位に作曲した曲で、サビのハイトーンで殴りに行き(もともと男性向けのキーでC5のロングトーン)、さらにはBメロでシャウトやラップ調のフレーズを入れるイメージでした。最終的にはキー調整でオキさんギリギリの所に調整して、ハイトーンで殴りに行くところはきっちりお願いしました(大変な曲を歌わせてしまったなあという顔)。ジャンル的には完全にメタルのつもりです(インスパイア元はrain forest/Dazzle Vision)。何気にnil-Glassで初めてのサビから入る曲ですね(一曲目がサビから入るととてもクロスフェードとか作りやすいことに気づきました笑)
この曲は作詞がオキさん担当で、頂いたものは直接の滅びの瞬間を描いたものですが、どことなく神秘的な雰囲気が漂う詞になっていると思います。詞についてはオキさんが先行公開時にノートを書いていただいたり、きっとアルバム版ライナーノーツでも語ってくれることかと思うので詳しくは任せます。
バイオリンの間奏部分はもともとはギターソロが入っていたんですが、二回目のサビ後にもギターソロが入ってたので「月と言ったらバイオリンですよね!(個人の感想です)」とオキさんにバイオリンソロをお願いしました。一応自前でバイオリンも持っているので何となく弾きながら作ってみましたが、とてもオキさんの想定外だったみたいで「これ弾けたんですよね??」などと疑われたので弾いてみたして共有フォルダに上げたりしてました笑(今聞き返したら、とってもよたよたな演奏で笑ってました。いや、別に「同じ弦楽器だしいけるやろ」みたいなギターの延長線のノリでバイオリン始めたので..ちゃんと練習すればもっとうまく弾けるかしら...)
レコーディングまわりで一つ大変だったのは、元のキーからだいぶ(C→G)変えてたのでフレットのポジションもだいぶ下がってて、で2サビ終わりの間奏がどうしてもレギュラーチューニングだと弾けなくて半音下げたチューニングで弾いてました。オクターブ奏法してたところがギリギリ底ついちゃってダメだったんですよね...。フレーズとしては右側のギターは全般的に気に入ってます。ミックスも難航して、各パートの雰囲気に合わせて歌っていただいてたので、その間でバランスをとるのが中々きつかったです。愛称「るなちゃん」で呼んでたんですが、そんなかわいらしいもんでもなくミックス過去最高に難しかったですね。。。
余談ですがこの曲が完成したのはアルバムタイトルより前で、「Judgment moon」のはまり具合は完ぺきでは??と思っていました(何にはまってるかは言いませんが...)
「薄明」は完成時期は収録曲の中で一番最後の曲になります。実は唯一前回のM3後に作曲した曲になりますね...(その他の曲はなんだかんだラフはM3前にできてました)。「お洒落枠」ということでスタイリッシュな曲を作りたいなと思っていたのですが、Fox capture planのドラム回しとCö shu Nieのトリッキーな雰囲気を合わせたような曲に仕上がった様に思います。ジャンルはプログレジャズとロックの中間くらい?な印象ですね(個人の感想です)。
サウンドでいうと、リズムはハイハットを16分で刻む細かいフレーズを何となく研究しながらアレンジしてました。実際頑張ればドラマーさんが叩けそうな気がするくらいにはしたんですがどうでしょうかね...符点8分のディレイをかけたギターも独特の浮遊感を出してくれたと思います。また、全般的にオキさんにバイオリンを弾いていただいてますが、こちらも艶やかでスタイリッシュな雰囲気を彩ってくれてます(変拍子を弾かせてしまったなあ...間奏前半でやった6/8+9/8の組み合わせは個人的に好きです)間奏ではアコギでソロを弾く+オキさんのバイオリンとの二重奏の2つやりたかったことを詰め込んでます。バイオリンはイントロとかソロとかまあトリッキーなフレーズだったと思いますが、オキさんが完璧に弾きこなして頂いたので是非堪能してください笑。(バイオリン譜を見たオキさんはこんな感じだったそうです→( •᷄ὤ•᷅ ))
作詞はオキさん担当だったんですが、何というかイメージ通りの歌詞を頂けたなと思います。イメージを言葉にしようとすると何というか難しいんですが、退廃的で冷たさのあるクロスフェード、この曲だけ二番(他は一番)のサビを引っ張ってきましたが、二番サビの出だしの「夜にしか泣けぬ花もある」ってフレーズがいいんですよね...。
あ、なんか過去ログ見返してたら「弾いてみたそのうちやってみます(バイオリン)」とか書いてある...見なかったことにしよう
この曲は去年のWeb即売会「ミュートピア Vol. 5」に合わせてリリースした曲で、このアルバムの中で一番最初に完成した曲になります。秋M3前に「イベント用に曲出しましょう」という話になり、時期的にはクリスマスが近かったのでクリスマス or ウィンターソング、で捻くれて明るくない曲にしましょう、という流れで作り始めた曲になります。ちょうど秋M3の入稿が終わった時期でミックスマスタリング作業に飽きて作曲欲が高まっていたため、1,2日で原型が完成しました。作曲のテーマ的には「バンドサウンド、カルテット、シンセサイドチェインの全部込み」で、シンセサイドチェインとかは主題歌コンピの「Autopia」聴いて入れたい欲があって反映された感じなのですが、その話をしたらオキさんより「ディストピア系ウィンターソング」という言葉を頂き、無事明るくない冬曲から「ディストピアウィンターソング」に進化しました
そんなこんなで作詞のターンに入りますが、ひとまず世界観としては終末世界のクリスマスにすることにし、設定的には不穏な感じなのですが、それでも露骨に「滅びた」的な表現は使わないようにしました。イメージ的には雪が積もった後の晴れたクリスマスの日で、シチュエーション的には穏やかな感じですね。「聖なる夜」を「人類が衰退して綺麗な自然」のメタファーとしたところがオチになります。
編曲は冬らしくベルの音をちりばめたり、当初の予定通りカルテットのアレンジ入れてギターとベースをいつも通りいれて、、、という感じです。ギターソロはチョーキング多用しましたが推せるソロに仕上がったと思います!ストリングスフレーズも特にラスサビのあたりとても厳かな感じに仕上がったのではないかなと思います。オキさんのボーカルはButterfly Corsageや他の曲よりもかなり明るめの感じで歌っていただいているので、そこも楽しんで頂ければと思います!
「鼓動」「live」に引き続き作詞に真雪さんを交えての三曲目になります。ちょっとジャズチックなポップを目指して見た曲です。この曲は「live」「Carnelian」と一緒に候補曲で出していてliveをButterfly Corsageに収録して、この曲は今作に持ち越ししました。なので曲のラフはアルバムのテーマより前に決まっていた形になります。Holy white.の作成が進み、アルバムのテーマも決まったあたりで、「さてさて、このゆるふわな雰囲気の曲をどう終末ものに持っていこうか」となり、真雪さんに「穏やかで、でも終末ものなので人がいない感じの歌詞をお願いします!」という無茶とも何とも言えないリクエストでしたが、優しげな雰囲気の漂う素敵な歌詞を頂けました!個人的には一番サビのカフェの描写が好きで短い動画作る時にも「手書きな感じの椅子と机があって、割れたカップが置いてあって、途中で蝶も飛んできて...」みたいな脳内風景があったのですが描き切れなかったのが心残りです。
さて、今作ではChill枠にもあたるこの曲ですが、レコーディングはギターベースと非常に苦労した(オキさん曰くバイオリンも苦労したそうです、、、)ゆるふわの皮をかぶった悪魔になります。自分で描いておいて何なんですが、前回のChill roomと同じくシャッフルで音の密度の薄い曲、めちゃくちゃリズム取るの大変なんですよね...まあレコーディングは苦労しましたがふたを開けてみればオキさんのバイオリンとボーカルと合わさって穏やかな雰囲気に仕上がったのではと思います!
アニソンロック調を目指した曲で、前述のとおり「live」「青空ゆらり」とともに候補で上がっていた曲になります。このアルバムで初出になります。作詞作曲担当しました。
作曲アレンジについては、ベースのコード進行だったりとかオクターブ奏法をバックで走らせたりとかAメロでリズムハーフテンポにしたりとかは個人的には比較的王道なやり方というかアレンジになりますが、Bメロでそっと転調したりサビのしめの部分でひとひねりしてみたりと、ちょこちょこっとした遊びは入れてみてます。間奏のトレモロもお気に入りフレーズです。バンドサウンド全開にしたオケに合わせて、オキさんのボーカルも重ためでカッコいいテイストになってます!
この曲はタイトルは後決めで仮で落陽っぽいイメージから「落陽さん」とかよんでて歌詞もちょっと日没回りをテーマにしようかなと思っていたのですが、最終的には終末世界で再起を誓う、がテーマになりました。Bメロの「新月の夜...」はオキさんのThe Lunar Nightの歌詞を受けてます。落陽さん成分は無くなったかというとそうでもなくて、歌詞カードには載せなかった部分で間奏でオキさんに歌っていただいたところに入っていたりします。タイトルのCarnelianですが、タイトルの裏テーマに「色」というのがあって、これは四曲タイトルがそろったところでほんのりorはっきり色を連想させるタイトルになっていたのでタイトルの統一テーマにしますか、となりました。そこで「落陽 色」検索!を行った結果カーネリアンが目について、石言葉も希望をもって立ち向かう、といった感じで歌詞にもマッチしたので採用に至りました。ちなみに脳内イメージは荒野を夕日を背にorバックにバイクで駆け抜けるイメージです。
余談:この曲、オキさんにボーカル録っていただいた生データが卵、オキさんのテイク選び音源がヒヨコ、ミックス版をニワトリと呼んでました。丁度この時期本業が修羅場ってて、オキさんのレコーディング後ちょっと寝かせる感じになってたんですよね...そしてテイク選びがオキさんによって孵化と表現された...
この曲も旧作枠でThe Lunar Nightと同時期の作曲になります。実はもともと2019年にM3初出展した時に拙作「Evanescent but Vivid Moments」と一緒にもう一作リリースしようとして(無謀極まりない)そちらに収録しようとしていたのですがそんなに手が回せるはずもなくお蔵入りさせていました。歌詞はもともとは秋の卒業ソングをテーマにしてたんですが、アルバムテーマに合わせて再作詞しました。詞は切ない雰囲気から前を向いて歩き出すストーリーにして、タイトルは作曲当初から決まっていたのでそれに沿って歌詞を仕上げていきました。温度感としては「ヒペリカム」(Butterfly Corsage Tr.6)の詞を参考にしてたりもしてます。
思い返せばやたら細かく動くメロディラインで、作った当時歌いやすさとか全然考えてなさそうなのがばれてしまいますが(今更)頂いたボーカル音源聴きながら「よくオキさん歌えるなー」と思っていました。サビで一番上がるところ(一番サビで「モノクロの夜にゆ「め」を見る」)のニュアンスが絶妙だと思います!
この曲についてはもともとアレンジがだいぶ完成してたこともあり、作詞以外は比較的すんなりと作業が進んだ気がします。
レコーディングもあんまり苦労しなかった気がする...出だしめっちゃフレットノイズ入ったので抑えようかなとも思ったのですがそのままにしてみました。
ドラムの打数が地味に多いのとベースが割と細かく刻むので、細かく動くリズム隊のうえで、16分でサビ裏で流れるシンセやメロディラインとかのキャッチーなウワモノを心地よく楽しんでいただけたらいいなと思います。